結婚式の招待状が届きまして、ふっと気づいたのですが「末永く」「末長く」?
「ずっといつまでも幸せにいて欲しい」という意味を持たせたい場合はどちらを使うのが一般的なのでしょうか。
よく見かけるのは「末永く」のような気がするけれど、これって当て字っぽい気もしませんか?
そういえば永年と長年も両方表記があるし……それぞれどういう意味があるのか調べてまとめてみました。
末永くと末長くはどちらが適切?
ポイントはやはり「永」「長」の意味の違いですよね。
まずは辞書を引いてみました。
辞書的な意味で言えば末長くが一般的
実は辞書には末長くしか載っていないことが多いです。
末長く(すえながく)の意味 - goo国語辞書
すえ‐ながく【末長く】
[副]遠い将来までいつまでも。これから先も長くずっと。「末長くお幸せに」
手持ちに新明解の辞書があるのですが、そちらは「末永く」で載っています。新明解はほかの辞書に比べると独特な視点を持っているので、世間で使われてきている「末永く」にそろえてきているのかもしれません。
今度は「ながい」の意味で調べてみましょう。
なが・い【長い/永い】
長い/永い(ながい)の意味 - goo国語辞書
1 (長い)はしからはしまでの隔たりが大きい。「―・い橋」「―・いひも」「手足が―・い」⇔短い。
2 ある時点までの間隔が大きい。久しい。また、永久である。「―・い年月」「―・い旅に出る」「―・い時間話し合う」⇔短い。
3 のんびりしている。また、辛抱強い。「気が―・い」「息の―・い研究」⇔短い。
こちらでも新明解の方も見てみますね。
なが・い【長い】
1.連続また持続する物事の、始まりから終わりに至るまでの時間が比較の対象とする(一般に予測される)ものより多くかかる様子だ。
2.線状・棒状に伸びているものの、一方の端から他方の端までの隔たりが比較の対象とする(一般に予測される)ものより大きい様子だ。
表記:時間の場合は「永い」とも書く。
三省堂『新明解国語辞典 第六版』
どちらもまとめてみると
- ある地点からある地点までの隔たりが大きい
- 始まりから終わりに至るまでの時間が多い
という話をしていて、時間を表すときには「永い」を使うのであろうことがわかります。
- 物のながさ→長い
- 時間のながさ→長い・永い
という使い分けですね。ただ、どちらを使った方がいいという明確な説明はありません。
気持ち的な問題で末永くと書く人が多い
物のながさも表せる「長い」には端から端まで、ある地点からある地点までというように、始まりと終わりを感じさせる気がします。
それに比べて「永い」は「永遠」「永久」という熟語もあるように、無限に続いていくようなイメージがありますね。
なので「すえながくお幸せに」と言った場合には「永い」の方が気持ち的にはいいと感じる人が多いです。
迷ったら「幾久しく」が結婚式向き
末永くか末長くか迷ってしまったら「幾久しく」という言葉があります。
いく‐ひさしく【幾久しく】
[副]いつまでも変わらないさま。あいさつや手紙文などに用いる。末長く。「幾久しく幸多かれと祈ります」「幾久しく御交誼を賜りますよう」
長い/永い(ながい)の意味 - goo国語辞書
いく‐ひさしく【幾久しく】
[「幾久しく栄え有れ」の意の圧縮表現]相手の身の上に、いつまでも幸福が続くことを願う主体の気持ちを表す。
三省堂『新明解国語辞典 第六版』
幸せを願うときに使われる表現なんです。
永年と長年の違い
「すえながく」は「お幸せに」みたいに永遠に続いてほしいものに続くことが多いので「末永く」が使われるようになってきています。
では「永年」「長年」はどうなのでしょうか。
すえながくのときと同じく「永年」はこれからも続くことを意味します。
「長年」だと今までの期間が長かったことを意味する言葉になります。
なので、勤務最終日などに「ながねんの勤務」とする場合は「長年」です。
でも、勤続年数のながさを表彰されるような場合には「永年」を使います。今までも会社で勤務してきて、これからも勤務を続けるからですね。
「永年勤続」なんて言葉もあります。
永年が何年くらいかというのは会社にもよりますが、基本的には10年以上勤務すると表彰されることが多いですね。
表彰状にも「入社以来〇年の永きにわたり」と「永」の字が使われます。
「永年」は年会費でもよく使われる表現ですね。「年会費永年無料」と書かれていたら会員でいる限りはずっと年会費が無料という意味です。
「永く」はこれから先も続く、「長く」は今までの期間と覚えておくといいですね。
末永くと末長くは使い分ける必要なし
- 末永くと末長くはどちらを使っても大丈夫
- 永年と長年は場合によって使い分ける
ということがわかりました。
個人的には永遠の愛を誓う結婚式では末永くを使いたいですね。この辺の感じ方は人それぞれかなって気がします。
とりあえずはどちらを使っても間違いではないので安心してくださいね。
永年と長年の方はちょっと意味合いが違ってくるので使い分けに気をつけましょう。